泰国 ピヨッ ピヨッ

うわんです。


タイの洪水騒ぎも、どうやら一段落してきた感がある。
それでも、まだ冠水している道もあるようであるが、「水が引いている」と言う、話を聞く事が多くなった。

私が勤めている工場の従業員も、４～５人程度、家が浸水したと言う者がいる。
その中で、ムアンタニとラムルッカの境当たりに住んでいる、タイ人の話。

彼は、家が浸水して、10月の終わり頃から1週間程、会社を休んだ。
１階が浸水したが、荷物を２階に上げたので、それほど被害を受けなかったとの事。

今週、、体調を崩して２日程、休んだ。
出て来たので、「どうだった」と聞くと、体調より、休んでいた２日の間に起こった出来事を話てくれた。
増水の勢いが凄く、土のうは積んでいたが、一度、扉を開けたら、閉められなくなったので、水が引くまでドアを開けっぱなしにしてあるそうだ。
で、休んだ初日。
水が引き始めたので、１階の様子を見ていたら、家具の陰にうごめく「物体」を発見。
なんと、体長１メートル半程の、ワニだったそうだ。
何も食べていないのか、結構痩せていたそうである。
彼には、幼い子供がいるが、１階を通って２階に上がるので、万が一の事があっては大変である。

タイには、日本のような消防署に所属する救急車は無い。
病院が救急車を持っていて、そのサービスは有料である事が多い。
交通事故等の時、けが人を運ぶのは、民間の慈善組織のレスキューである。
どのような資格があるのか知らないが、街のあちこちに、「○×善堂」の様な看板を掲げた、レスキュー組織がある。
聞いた話では、お金持ちがお金をだして、そう言う組織を援助しており、ヤンチャな兄ちゃんやヤンキーの姉ちゃんを更生させて、隊員にしているとか。
街で、事故があると、近くの同じような組織が我先に現場に駆け付け、けが人を病院に運んだりしているようである。

で、ワニを見つけた彼は、そのレスキューに連絡して、捕まえて貰ったそうである。
水害で自由に動けない一般人に比べたら、そのような時、非常に有効な働きをするようである。
警察とか、消防では、ワニの扱いをどうするのか決まっていないだろうから、何でもフレキシブルに動いてくれる民間のレスキューは有難い物である。

日本でも、街にクマが現れたとか言う場合、警察に連絡するのだろうか？
スズメバチの巣を見つけた時は、「市役所」に連絡するのが一般的だと聞いた事がある。
１１０番に連絡したら、直ぐ動いてくれるのだろうか？
１１９番ではなさそうである。
クマの場合、猟友会なる人達が出て来て、撃ち殺したと言う事がニュースになる。
でも、直接、猟友会に連絡して…と言う訳ではないだろう。

次の日、彼の家の庭に別なワニが２匹いたとの事。
合計３匹。
ワニ園で見る時は、大きいワニが何十匹いようと平気だが、小さいとは言え、檻も柵も無い所で、ワニとは対面したくない。
この２匹も、民間のレスキューに処理してもらったと言うことである。

極めて普通の住宅地。
洪水で、浸水したとは言え、家の中や、庭にワニが出て来るとは、さすが南国タイである。

私の勤めている工場では、年に数回、ヘビが出る。
コブラやインドニシキヘビ。
それに、恐竜の様な大トカゲ。
今回の洪水で、浸水も冠水もしなかったが、もし水が来ていれば、これらの歓迎したくない、｢地球の仲間たち」が工場の機械の下や、倉庫に潜り込んだ事だろう。

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自宅に逃げ込んだ痩せたワニを見て。彼は、「かわいそう」だと言った。
自分や、家族を襲って咬みついてくる来るかも知れない「飢えたワニ」を見つけて、「かわいそう」と感じる。
自分も洪水の被害に遭いながら、そのように感じられるのが、タイ人なのだろうか？

咬みつくかも知れない「どう猛」な獣でも、「地球の仲間」なのである。